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【映画感想】遊星からの物体X

 1982年のSF映画。南極隊員が謎のモンスターに密かに「感染」していくストーリー。最初から既に感染していた犬やモンスター化した謎の死骸が出てきて、元のルーツは今作では分からない。もう40年以上前の映画なのに全て模型で作られているクリチャーは今見ても凄くリアリティがあって、特に内臓やグチャグチャになって動き回る生首など素晴らしい出来栄えだ。特撮のレベルが特に当時は日本と全く比べ物にならない事が見て取れる。

 誰がモンスターに感染しているのか隊員達が疑心暗鬼になっていく様子がとても面白い。採血してチェックするシーンはコロナ禍のPCR検査バリのヒヤヒヤ物である。その検査に引っかかった途端(熱に反応する)、本性を出して変体して暴れ出し、周りの隊員が慌てふためく様子がメチャクチャ面白い。モンスターは熱に弱いらしく火炎放射器で焼き尽くす場面が頻繁に出てくる。コロナのように自分自身でも感染しているのか分からないのか、それとも感染を隠して体が乗っ取られたまま密かに行動しているのか、二つの描写が出てくる。感染していた仲間の1人は密かに脱出用のUFOを製作していた場面が出てきて、グチャグチャになって襲ってくるだけではなく、実は高度な知能もあるようだ。仲間がいきなりモンスター化する場面はビックリするし、腹がいきなり裂けてその部分が勝手に歯になって手首をもぎ取られるなど、少し笑える場面もある。

 ラストバトルが唐突でよく分からなくて、生き残った仲間の1人がモンスターに連れ去られて、もう1人はただ単にいなくなる。主人公の前にいきなり巨大モンスターが登場するのだが、これは消えた仲間を取り込んだ姿らしい。バトルもダイナマイトを投げてすぐに終わる。僅か数分でシーンの繋ぎや映像が明らかに足らず、どうやらストップモーションでボツになったカットや制作の都合があったと思われる。

 冒頭や中盤に幾つか謎があって、ノルウェー隊が巨大UFOを発見していて、何かを爆破しようとしている。雪で作られた四角の穴ボコは一体何だったのか。UFOの下りが物語に余り絡んでこなくて殆ど謎のままで終わる。UFOが何だったのか、どこから来たのか、彼ら自体がモンスターなのか、全く説明がなく今作ではその後の闘いのみが描かれていて、そこがまた視聴者の想像力を膨らましてくれた。次は『遊星からの物体X ファーストコンタクト』、観るしかない。