dw821memories’s blog

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【映画感想】3022

 2019年のアメリカ映画。物語は2190年の宇宙船パンゲア内の出来事で乗組員の孤独や希望の心理描写を中心に描く。地球が謎の大爆発で消滅して人類最後に残った乗組員の壮大な物語と思ったら違っていて、心理的な部分にスポットを当てている。

 密閉空間の生活の中で精神を徐々に病んでいく中で突如、謎の大爆発が起こる。その爆発が何だったのかは途中までは視聴者側もよく分からないまま話が進んでいく。どうやら地球が消滅したらしいと気がつくクルーが絶望して徐々におかしくなっていく。もし自分以外の全ての人間がいなくなったらそこに生きる意味や希望があるのかという重いテーマを視聴者に節々に問いかけてくる。そこに絶望しかなければ生きようがない。自分達以外が誰もいなくなった宇宙空間という設定だからそのテーマはとても分かりやすく色々考えさせられた。

 絶望の中でも僅かな希望があれば状況は変わらなくても一気に気持ちは変わる。別の遭難していたシャトルを偶然発見した時は後先考えずに救出する。そのシャトル木星の植民地衛星に全員で何とか辿り着けると勝手に思い付くとパーティが始まってノリノリになる。僅かな希望でも本人達は超ラッキー状態だと思い込む。しかしすぐに酸素の供給が人数過多で追いつかなくなり残り1ヶ月しか持たないと分かると殺し合いが始まる。最悪の状態だとそれが思い込みの希望、妄想の希望だと気がつかない。孤独でも生きていけない、全員だと酸素が足りないという極限状態。

 クルー同士の乱闘で別々に切り離された宇宙ステーションで遂に1人になった主人公は最後のもう1人の仲間を救出する事を決意。冒頭から最後の方のここまでで実はよく分からないシーンがあって、それはこのラストシーンのワンカットが何の脈絡もなしに物語全般に挿入されていて、これが何のシーンなのか、いつなのか、誰なのか(髪型が少し変わってる)、1回目では本当に訳がわからない。しかもそうする必要性も感じられず、普通に時系列的にやった方が良かったかもしれない。

 最後の場面で題名の『3022』の意味が明かされる。てっきり西暦3022年だと思っていたのだが違う。主人公がパンゲアに搭乗してから3022日という意味で、仲間を救出しにいく時のラストメッセージに記している。派手さはないが色々と考えさせられる映画。低評価すぎるのが信じられない。自分の目でしっかり観ていきたい。