dw821memories’s blog

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【映画感想】氷室蓮司

 Vシネマの本編日本統一よりも明らかに映像の撮り方が違っていて、カット割り、間合いが豊富で冒頭から気合いが伝わってくる。本編にあるようなコミカル要素は全くなく、他の日本統一メンバーも冒頭に僅かに出演するのみ。香港の街並みと氷室蓮司の雰囲気がとても合っていてカッコいい。あんな52歳だったらなってもいい。物語のスピード感、密度もしっかり作ってあって、日本統一10周年に相応しい内容だった。

 本編の日本統一を全く知らなくても楽しめる内容だが少し説明したい。香港で攫われた氷室蓮司の息子悠太は田村悠人と菅谷謙太からそれぞれ一字ずつ貰って名前を付けた経緯がある。確か『日本統一6』を最後に氷室の家族関係は全く触れられなくなる。本編では右翼の権力者と兄弟分になって親しくなった後、彼の妹を遠回しに紹介されるシーンがあるのだがそこで氷室は離婚したと推測されるに留まっていた。今作では離婚していた事が明らかになってその理由も語られる。息子を初めて抱っこした日(氷室が日本統一5で出所した頃)は2007年と分かるシーンもある。日本統一本編だけでは少し分からなかった部分が補足されるが、そういった部分を全く知らなくても全然問題ない。日本統一を知らなくて初めて観ても大丈夫。ちなみに今作で氷室が英語の文章を入力する場面があった。実は氷室は英語ができたのだ。

 ストーリーも結構凝っている。最初の方で仲間の1人が事件に関わっていると分かるシーンがあってこれを見た時「もっと最後まで引き伸ばすべき」と思った。『龍が如く』みたいに最後の最後で黒幕が分かるような。しかしこれとは別にもう一つの秘密が隠されていて、それは最後の最後まで分からなくて、「なるほど、そう来たか」と思った。これを知った上でもう一度見返したいと思えてくる。色んなシーンや台詞が別の意味が込められていたと後からわかってくる。Vシネマはビデオだからすぐに見返せるけど映画だから仕方ない。

 家族の為なら何でもする、どんな仕返しもするというテーマが描かれていて、氷室蓮司も本編では見せないような焦りだったり、ヤクザ同士の闘いよりも息子を守る為ならさらに凶暴になるような場面がある。なのでさらにバイオレンス色を強めてもよかったかもしれない。『コマンドー』や『ランボーラストブラッド』みたいにもっとメチャクチャやってもよかった。ハンマーで殴るシーンやフォークリフトで突っ込むシーンは凶暴だが、描写は相当控えめに作ってある。ランボーみたいに敵の頭をえぐったりコマンドーみたいに容赦なく鉄パイプをブッ刺すような場面はない。

 日本統一本編も今作ぐらいのスピード感、密度で作れたらと思えるほど良かった。コミカル色ももう少し抑えて、今作のようなテイストの方がやっぱり好きだ。日本統一ファンは勿論、全然知らない人にも是非観てほしい。もっと日本統一を観る人が増えてほしい。