dw821memories’s blog

映画の感想などを書いていく予定です

【映画感想】日本統一61(まとめの感想)

 今作からオープニングムービーがパワーアップ‼️「侠」の文字が画面いっぱいに拡大してきて日本統一の文字に吸い込まれた後に青い稲妻がロゴを包み込む。さらに派手さが増した。前作から続いていたシャブ、武器密輸の黒幕はやはり謎の宗教団体で、これが完全にオウム真理教事件を模倣している。世界カモメ協会、タカハラ(麻原)、コウユウ(上祐)など名称から、教祖が選挙に落選してからテロ化、覚醒剤や武器の密造、拉致、洗脳、そして彰晃マーチなど全てを取り入れている。30分が過ぎた辺りに教団施設が出てきてからは、教祖の洗脳ムービーが流れ出したり、今までの日本統一では見たこともないような雰囲気が溢れ出してくる。オウム事件を最初から完全に模倣しているので、被害者の会が状況を説明する場面は少し中弛みに感じた。氷室の推測によると、侠和会、丸神会双方に信者が紛れ込んでいるらしい。

 後半、誰も巻き込ませたくない田村悠人が1人で教団施設に突入した後捕まって、その後、氷室蓮司が駆けつける。そして洗脳されてしまった田村悠人と氷室蓮司の激アツバトルが始まる!と思ったらすぐに実は正気と語る田村がちょっと勿体ないと思った。もっとギリギリまで(次作まで)引き伸ばしても良かった。サングラスを完全に外した田村悠人が結構久しぶりに感じた。サングラスを外していた方がカッコいいと思う。教団と喧嘩バトル真っ最中でエンドロール、日本統一お得意の「次は果たしてどうなるのか」で終わって、次作以降も観続けるしかない。

 遂に最新作まで追いついた。僕が日本統一をよく知ったきっかけは愛読雑誌「実話ナックルズ」で特集が組まれていたのが始まりで、ちょうどレンタルビデオ屋で50作ぐらいズラっと並んでいるのを見て、「よくこんなに作ったもんだ」とちょっとビックリした。適当に映画ブログを書いてみようとしていたので、ついでに日本統一を一話づつ感想を書いていったら少しは面白そうだと思ったのが始まりだ。元々Vシネマもヤクザ映画も全然詳しくない。

 最初、「ゴッドファーザー」のような重厚でスピード感と密度のある構成で、それが何十話も続いているものかと考えていたが全く違う。一つ一つの話も単純なものが多いし、ストーリー全体も難しい事は何一つない。ストーリーも第一話からずっと繋がっているものの、大体まとまりが分かれていて(立ち上げ、東北編、四国編、九州編など)、全体を細かく覚えていく必要は全くない。一作ごとをじっくり腰を据えて観る必要はなく、例えばレンタルビデオ屋で10本ぐらいまとめて借りてきてザックリ観るのがお勧めだ。適当に何も深く考えずに観た方がいい。

 日本統一は当初、正統なヤクザ映画?そのものの方向性だったが川谷雄一が侠和会会長になった辺りから少しずつソフトムードになっていった。山崎一門の出番が多くなっていった辺りからはソフトムードを通り越してコミカルムードになった。僕はやっぱり最初の方の典型的なヤクザ映画の雰囲気の方が好きで、徐々にそちら側にもう一度シフトした方がいいと思う。「いわすぞ!」とか最近聞かなくなった。もっと泥臭いヤクザ、残酷なストーリーを見たい。

 一番面白かったのは「日本統一6」ぐらいで大宮和也が死んで、氷室蓮司と田村悠人が喧嘩状態になるところ。大宮和也は日本統一最高の存在感で静かな狂気を感じた。秋元組組長若宮猛も素晴らしい味があったのに引退してしまった。自分の立ち位置に悩む長谷川大輔のあの場面が良かったのだがその後死んでしまった。いいキャラになってきたと思った矢先にその人物がいなくなってしまう事があってそこが勿体ないと思った。

 氷室田村がもう少し下っ端のままの方がよかったかもしれない。出世が早すぎて侠和会のトップになってしまった事でヤクザ社会の上層部のダークでよく分からない部分があまりにも軽くなってしまった。侠和会自体に何かベールに包まれたようなものがなくなってしまった感がある。その点では白竜が侠和会会長の時にはまだ上が何なのかよく分からないベールのようなものがあった。

 主人公氷室蓮司がトップになってからストーリーに「心情」のようなものが描きにくくなったような気がする。例えばヤクザ同士の板挟みとか葛藤のような人物描写がなくなって、侠和会の作戦会議ばかりの進行が多すぎる。組織関係をもっと適当にザックリ描いて、対人の心情やそれに伴ったストーリーを深くしてもいい。その点は長渕毅主演の『オルゴール』がとてもよく出来ていた。ちなみに氷室蓮司が「〜かもしれねえな」と言った時は今の所、100%正解である。推測シーンではなく事実上のストーリーの補足的説明シーンであり、これを覚えておくと物語が頭に入りやすくなる。

 日本統一は大河ドラマのように最初から何十話も作ると決まっていた訳ではない。せいぜい10作程度が殆どであるVシネマでこれ程長く続くのは異例で、そこが一番凄くて工夫も凝らしていると思う。最初はどれだけ作れるか分からないからプロットやストーリー構成が難しい。単発でもなければ長編と決まっていた訳でもない。始めから50作と決まっていればストーリーの起承転結を考えるのは楽だが、どうしても部分的に作らざる得ない。その割に日本統一はある程度最初から大きな纏まりもあって、視聴者に「次はどうなる」と思わせる作り方が上手くて、それが成功の一つの理由だとも思う。氷室田村の出世が早すぎた理由も「終わりがどこか分からない」制作上の理由だとも思う。

 大人気シリーズになった日本統一はさらにもっとバイオレンス、残虐シーン、恐ろしいストーリー展開に期待している。一話分の密度をもう少し上げてもっとスピードを上げても問題ないと思う。侠和会vs丸神会はそんな風になって欲しい。いい人同士の殺し合いこそ面白い!侠和会関東進出、ここからが文字通り日本統一の本当の始まりのような気もする。

 最近、日本統一感想ブログを連続に書いてきたがそれには理由がある。4月12日公開の『氷室蓮司』に間に合わせたかったからだ。感想も書く予定。もっと日本統一を観る人が増えて欲しい!