dw821memories’s blog

映画の感想などを書いていく予定です

【映画感想】ボヘミアン・ラプソディ

 映画批評の点数が異常に高くてネットでも「観るべき映画」第一位になっていたりもしたので借りてきた。クイーンの事は全く詳しくなく、題名の「ボヘミアン・ラプソディ」という曲の事も知らなかった。物語の切り口が思っていたよりもストレートで、学生時代のメンバーとの出会いから1985年のライブエイドというチャリティーライブまでを時系列に描いていく。映画大半にクイーンのノリノリの楽曲が流れていてトントン拍子で超人気ロックバンドになっていく。アルバム制作の裏側や代表曲(誰でも聴いたことのある足踏みと手拍子の歌)誕生の瞬間など自伝的要素が多い。脚色や入り組んだ話が少なく、クイーンのノリノリのBGMが終始鳴り響きテンションが上がる!

 メンバーの悩み事やトラブルがその時代がそうさせていたと感じる場面がいくつかあり、例えばフレディのバイセクシャルは今だったらそこまで問題にならないだろうし、アルバム作ってそれでツアーを周るのはもう飽きた、何をシングルカットにするか、何をB面にするかなどは今なら別のやり方があると思う。「ボヘミアン・ラプソディ」が6分の曲だからラジオに流せないなど時代の縛りのようなものも感じるし、アルバムで曲を売ること自体今は時代遅れになってきた。悩み事は時代が作り出して時代が勝手に解決してくれると思えてくる。そんな中フレディがメンバーに「誰のおかげでやってこれた」と言ってはいけない暴言を吐いてしまい、取り巻きから「第2のマイケルジャクソンを目指せる」と圧力が入ってバンドは活動休止へ(実際はどうか分からないがこの映画ではそんな流れだった)。

 ラストシーンのライブエイドへの持って行き方が素晴らしくて、ここがただの自伝的な映画ではなくて一本の物語のように感じさせてくれた。誰が大切か分かったフレディが締め切り直前にメンバーと集結して「もう一度やる」と立ち上がって自身の病気の事も打ち明ける。「何が何でもやり遂げる」とメンバー一致団結。さらに自分の成功をまだどこか認めていない父親ともチャリティーの件で分かり合えてエネルギーが加速していく。元恋人も今は良き友人になっていてライブに駆けつける。テンションが上がり切った所で「ボヘミアン・ラプソディ」が演奏される!クイーンの演奏が始まった途端、電話募金が殺到する!実際のライブエイドの映像もユーチューブにあったけど、ひょっとするとこの映画版も負けてないと思う。カメラワークも凝ってるし映像も透明感があって躍動感がある。メンバー四人とも似ていて、特にギターのブライアンメイがそっくりだ。

 クイーンの楽曲があってこそ成り立つ映画で、もし完全にオリジナルのバンドとシナリオで同じように作ったら全く面白くなかったかもしれない。曲が素晴らしいし、何より、ボーカルのフレディの声が聴き心地が良い。クイーンの熱烈なファンからは違う捉え方が出来るかもしれないが、あまり知らない人が観たら確実に彼らのファンになれる映画だ。