dw821memories’s blog

映画の感想などを書いていく予定です

【映画感想】オデッセイ

 『エイリアン』のリドリー・スコット監督だから怖い作品だと思っていたら全くそうじゃなく、希望や仲間との協力を描いた爽やかな映画だった。不慮のアクシデントにより火星の仮設研究施設に一人取り残される宇宙飛行士のワトニー。食糧も少なく、交信の手段もなく、周りからはもう死んだと思われていて、自分は一体全体これから何をどうすればいいのか、しかし、出来る事を一つずつ見つけて実行に移していく。

 ワトニーが凄いのは極限状態にも関わらず明るさを失わないこと。施設内で何とかジャガイモを栽培したり、昔の探査機を見つけて通信を試みたり、車両で次の計画の機体着陸地点に移動する為の練習をしたり、そんな少しでもやれる事を冗談を言いながら明るいノリで続けていく。終始明るいから、最悪な状況なのにそういった活動が本当に楽しそうに見える。ジャガイモだけ食べているのに何故だかそれがとても美味しそうに感じる。衛星モニターから生存に気が付いた地球の仲間がワトニーの心境を心配するけど、次の瞬間、ディスコミュージックを全開で掛けまくって曲の愚痴を言いながら生き延びているシーンがとても印象に残った。最悪な環境でも取り組み方一つでどうにでもなれると思えてくる。

 地球と通信ができるようになって順調に事は進んでいる最中、施設が爆発してジャガイモ畑もダメになり、さらに補給物資作戦も打ち上げ失敗に終わって万事休すと思いきや、中国が代わりのロケットを打ち上げると名乗りをあげ、さらに宇宙工学専攻の青年が新しい救出プランを練るなど、次々と仲間が現れて状況を打開していく。こういった状況は映画の中だけの話じゃなく、至って平凡な日常にも当てはまる。真面目にやっていたり頑張り続ければ誰かがそれに気が付いて、そのうち仲間や信頼出来るメンバーが自然に集まってくる(そう信じたい)。宇宙が舞台のSF映画だけど、そういった普遍的で大切なメッセージがこの作品には込められている。

 この映画は学校や教育機関が子供達に薦めるのに持ってこいと思われる。バイオレンスやエロいシーンが全くないし、さらにラストで宇宙船を爆破してブレーキをかけたり、ワトニーが宇宙服に穴を開けてエアブーストしたりと適度な娯楽性もある。できる事を少しでも積み重ねて困難に立ち向かう大切さ、これは『ショーシャンクの空に』のSF宇宙版かもしれない。この映画を観るとやる気が出てくる!