dw821memories’s blog

映画の感想などを書いていく予定です

【映画感想】TENET テネット

 前半の話の脈絡がとても分かりづらい。冒頭、いきなり状況に放り出されたような始まり方で誰と戦っているのか、何の為に戦っているのかが全く分からない。未来から送られてきたとされる時間を逆行する道具がどこから来たのか辿っていき色んな人物と出会っていくのだが話の展開が速く何が何だか分からなくなる。偽物の絵の件を何とかする為に飛行場に突入する場面も話がいまいち理解出来ず、その絵が将来何らかの重要なアイテムになるような雰囲気があるようで実は何もなく、それはただキャサリンの弱みを主人公が消してあげてるだけで直接的に未来の解決事とは関係ない。その後、その絵がテーブルの皿に置かれていて奪取作戦が失敗に終わったと分かるのだが、絵の件はそれでお終いでそれからのストーリーの核には全く関係してこない。マクガフィンのようでマクガフィンではないような、プロットそのものが別の何かに置き換わってもいいように思えた。始まってからの1時間ぐらいは時間軸がどうこうではなく、ただ話の脈絡がとても分かりにくく少し眠くなった。

 ちょうど1時間半経った所から急に面白くなる。回転ドアに入ると周りの時間が巻き戻しになって過去に遡っていくのだが自分自身は普通に行動出来る。この映画の時間軸は完全に一本で『バックトゥザフィーチャー』のように過去で色々やると現在が変わるというような事はない。戻っていきながら今まで起きてきた幾つかのシーンが「あれは未来の自分がやってた事」と分かってきて物語に引き込まれていく。単純に過去に戻って色々やるのではなく、巻き戻しの世界が始まって同じ時間軸を遡っていくのがとても面白い。

 ラストバトルは敵味方双方が普通の時間で動いてる兵隊、巻き戻し状態で動いている兵隊と入り乱れていてもう物理的には何がどうなってるのかよく分からなくなるが、そこはさほど気にしなくてもいいと思った。冒頭のオペラハウスのシーンがよく分からなくて巻き戻って何かあるのかと期待していたがそこには繋がってはいなかった。さらに主人公と相棒ニールが『ターミネーター』のジョンコナーとカイルリースばりの関係性と明かされる!

 難解な映画として話題になっていて、時間軸が逆行だとかタイムパラドックスだとか、そういう部分が難しいのかと思っていたがその辺りは十分に理解出来た。この映画で難しいのは前半のまだ時間逆行が始まる前の色んな人物の相互関係や物語の脈絡だと思う(今何が何のために始まっているのかがよく分からない)。続編もありえそうな終わり方なので期待したい!