dw821memories’s blog

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【映画感想】牛首村

 物語の因果関係が最初から最後まで乏しく、ワンシーンがただ単に起こり続けていく。それが一番分かりやすいのはカノンの手首に何故か爪痕が付く場面で、そこに何か深い意味や設定があるようで実はなく、なぜそうなったのか最初に大きな疑問を抱かせるが何もない。例えば、傷つけられたのはシオンのはずだから実は何らかの展開で時空を超えた同一人物だったりするのでは?(スマホ実況のシオンは実はカノンで本当のシオンは既に死んでいてエレベーターで引っ掻いたのがシオンの霊?)と僕は考えながら観ていたが最後までそこに深い設定はなかった。シオンが幽霊のように部屋に突然出てきたり、バスの窓に映ったり、海の向こうに立っているのが見えたり、落書きが勝手に追加されたり、それらのシーンもただ少し怖い一場面が起こっているだけで後半への何らかの関係が全くなかった。

 人が死ぬ場面もほぼ無関係の人が勝手に呪われて死んでいく。ヒッチハイクで知り合った男やカノンの彼氏候補のレンはいきなり幽霊に襲われる。そこに理由はない。レンがバスの中で突然幽霊に襲われて少しビビるのだが、集合している幽霊が双子同士で、殺されたのは幼き片方のはずなので設定の甘さを感じた。レンがヒッチハイクの男に出会う場面で車に轢かれかけるシーンはゆっくりだけど本当に車に接触していて本物の事故レベルだと思った。

 全体的にストーリーの練りが浅く感じたのだが、それを補っていたのは勿論Koki。映画初主演とは思えない圧倒的な存在感、透明感があって素晴らしい。腰まで伸びている長く美しい黒髪がこの映画の雰囲気にも合っている。絶叫シーンも凄くいい。スタイルも良くて映り映えもする。後半、いきなり過去へワープして婆さんの死んだ片方の双子のアヤコにシオンが憑依されるシーンは怖くて素晴らしいのだが、ここは最後までシオン(Koki)のまま演じて欲しかった。発狂しきった所でアヤコになるのだが、ここを最後までKokiが演じて、最後カノンと抱き合って落ちていけば良かった。本当にアヤコに入れ替わるのは最後の最後で、それまで「溜め」を作った方が良かったし、何よりそのまま発狂状態でアヤコを表現するKokiの演技を見たかった。それを期待出来るぐらい今作はKokiの存在感が光っていた!