dw821memories’s blog

映画の感想などを書いていく予定です

【映画感想】最高の人生の見つけ方

 予告編のノリや雰囲気そのままの内容で、さらに冒頭で2人の名前が書かれたロケットが打ち上がるので最後に何が起きるのかが大体予想が付いて分かりやすい。お互い末期癌で主婦の幸枝と有名ホテルチェーン社長のマ子が同じ病室で出会い、少女が遺した「やりたい事リスト」を片っ端から実行していく。出会ってすぐに意気投合する理由に深い描写はないけど話が違和感なく進むのは2人をそれぞれ吉永小百合天海祐希が演じているからだろう。

 2人の旅行パートが1時間ぐらいあって、スカイダイビングやももクロライブは実際に行われていて凝っている。エジプトピラミッド、京都日本一ジャンボパフェ、長崎旅行と旅のシーンが続き、途中でマ子の父との再会といった泣けるシーンもある。この旅行シーンがこの映画の最大の売りなのだが、ここをどう捉えるのかで感じ方が変わってくると思う。正直なところ、僕はこの旅行シーンをもう少しコンパクトにしても良かったと思えたし、ダイジェスト風ですら良かったとも感じた。幸枝とマ子が親しくなるもっと深い理由や家族パートを深掘りしても良かったかもしれない。「死」を扱っている割にはノリが軽くて明るく感じたのだが、そこは捉え方の違いであって映画そのものはとても分かりやすくて良かったと思う。

 幸枝の引きこもりの息子がいい味を出していて、旅行中の結婚式の場面にも彼だけ出てこないから面白い。だけど終盤に結婚する姉を助けて欲しいと頼まれて遂にゲーム部屋から出てくるシーンは今作で一番感動した。

 幸枝が「死ぬまでにやりたい事リスト」が書けなかったシーンがあるのだが、その前に彼女が初めてタバコを吸ってみようとする場面があってここが強く印象に残った。本当に死ぬ前にやりたい事は良いことだったり善行だけではないと思う。どうせ死ぬから健康の事は気にしない、あいつだけは許せない、後先考えずになりふり構わず暴れるなど、本当に「やりたい事」は絶対に善行だけではないはずだ。最近、自分のやりたい事をしたり見つけたりする事が大切という風潮があるが、本当に人がやりたい事というのは決して綺麗な事だけじゃないはずだ。「やりたい事」を本気で自問自答して追求していくと、とんでもない発想が芽生えてくる。「やりたい事」を考えるのは実は邪心も伴う。真面目な幸枝が遂に「タバコを吸ってやろう」と思ったりする事に本質とリアリティがある。なのでそういう観点からは「死ぬ前にやりたい事」が旅行だったり他人を幸せにする事だったりするのは少し重みに欠けると感じたのだが、あまり深く考えない方がいいだろう。

 今作はハリウッド版のリメイクらしい。ハリウッド版も観る!