dw821memories’s blog

映画の感想などを書いていく予定です

【映画感想】ミスト

 レンタルビデオ屋の『ソウ』シリーズと同じエリアに置かれていて結構いつも誰かに借りられていたが、この前あったから借りてみた。事前知識はほとんどなく、ラストにどんでん返しがあるとはどこかで読んだ。
 
 感想、めちゃくちゃ面白い。謎の白い霧が発生し多数の人がスーパーマーケットに閉じ込められる。最初、その密室空間の中で人間同士が疑心暗鬼になっていく心理系の話だと思って観ていたら、いきなり外の霧から巨大なムカデタコが現れた!さらに巨大な昆虫みたいなモンスターも大量に出現して人が何人か死んだ!!全く予想してなかった。こういう映画だったのかと。謎の昆虫の動きやグロテスクな感じがかなりリアルに作られていた。謎の生物vs密室の人間のアクションは単純に引き込まれる。
 
 物語が進むにつれて、僕が最初に感じた部分は間違っていなかった。つまり、この作品は人間の心理的狭窄を描いたもので、本当に怖いのは謎の霧でもなくモンスターでもない、1番怖いのは人間の心って事。スーパーの密室の中で一部の人間がカルト化したり、この謎の出来事の責任を1人の人間に押し付けて殺したり。極限状態で人々が狂ったりある種の本性が表れたり、そういう部分を描いている。ひょっとするとこの映画に謎のモンスターは全くいらなかったとすら思えてくる。密室状態と謎の白い霧、これだけでもたぶん本質的な部分は描けるような気がした。モンスターは本質的な部分とは異なる、視覚的なエンターテイメントを醸し出している。死体から虫が大量に湧いたり、カマキリに切られて下半身だけ戻ってきたり、そういう場面はただ単に面白い。僕はその手の作品は結構好きな方だ。
 
 最後の最後で冷静だと思われていた主人公の男が取り返しのつかない判断をする。もはやあの状況ではあの選択もやむを得ないと案外、観客も思ってしまうのだが、それを実行してしまった後になんと救いの手が!ラストは例えば、極端な選択をする寸前に思い留まってその後走ってくるトラックに妻が乗ってて助かっていたなど、ハッピーエンドにする事もできただろう。監督は『ショーシャンクの空に』のフランクダラボンで、あの映画のラストは最後二人が砂浜で再開する突き抜けるようなハッピーエンドだからこそ良かったと思う。バスのシーンで終わらなくて正解だと思う。一方『ミスト』の場合は逆で、この終わり方だからこそ強く印象に残ってよかったと思える。ハッピーエンドだとしっくりこない。霧が晴れても(晴れたからこそ)男の絶望が続く。色々考えさせられる!