dw821memories’s blog

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【映画感想】プロメテウス

 『エイリアン コヴェナント』を先に観た後で『プロメテウス』を鑑賞。感想、めちゃくちゃ面白い。最近観た映画の中で一番面白い。物語の推進力が最初から最後までずっと途切れずに「次に何が起きるのか、どうなっていくのか」と常に感じさせてくれる。人類の創造主エンジニア(エンジニアという名前は主人公ショウ博士がモジって付けたもの)の惑星に探索チームが向かうのだが、全く訳がわからない状況は映画の中の人物も視聴者も同じ。訳がわからない状態で少しずつ、どうやらそこには本当に地球外生命体がいたと分かってくる出来事、描写がとても上手く作られていた。探索チームは初めて地球外知的生命体の痕跡を発見したにも関わらず結構淡々としていて、何人かの仲間は自分には関係ないと別のルートへ行ってしまう。これ、実際どうなのだろうと考えたのだが、案外、人によっては冷めているものかもしれない。大発見を目の前にしても驚かない人達もいる、これは意外に当てはまると思った。

 未知なる知的生命体の追跡、これだけでも十分面白いのだがさらに物語は二重構造になっていて、すなわち、このエンジニアと名付けられた謎の生命体は『エイリアン』の冒頭に出てきた「象の鼻」を持つ謎の死体とリンクする。「象の鼻」は実は被り物だったと分かり、お面を取ったら次に何が出てくるのか、何が起きるのか、その話の推進力がハンパない!次から次に謎が出てくるのだが、一方では過去作の出来事が少しずつ解明していくのが面白い。ショウのエイリアン取り出し手術シーンも凄く面白い。後半でエンジニアのコクピットが出てきた時、「これはあのエイリアンの謎のコクピットだ!」とテンションが上がりまくった。『エイリアン』を観てなくてもたぶん十分面白いけど、知っているとそういう場面がさらに面白さに拍手をかける。

 『コヴェナント』を最初に観たのだが、今作を観るとかなり深みが違ってきた。エイリアンの創造に関する認識が観終わった後でも自分の中でずっと考えさせられる。『コヴェナント』だけだとアンドロイドがエイリアンをゼロから作った話みたいに思えるが少し違う。謎の黒い液体は元々単なる生物兵器と思われる。黒い液体によってDNAが破壊されたショウの夫によって、不妊だったにも関わらずすぐに妊娠してしまうショウ。お腹の中には人間ではなく謎のモンスターが宿っていて、これがエイリアンの始まり(巨大なフェイスハガーになる)。これは突然変異で恐らくエンジニア達にも予期してなかった現象と思われる。デヴィッドがエンジニア達に黒い液体をばら撒いた時には彼らはただ死ぬだけで、その体からエイリアンは出てきてはいない。つまり黒い液体でDNAが変異した状態の個体を異種交配させるとエイリアンが生まれてくる。これは恐らくエンジニアが想定していなかった副産物なのだが、デヴィッドだけがこれに気付き、自分も創造主になるという野望も相まって常軌を逸した行動になっていく。デヴィッドがエイリアン(厳密にはフェイスハガーなど)を作ったのだが、元々はエンジニア達の謎の液体が原料。デヴィッドがショウの夫に黒い液体を飲ませた理由はウィンランド社長の指示でまだ何なのかよく分からない黒い液体の効果(不老不死)を試すものだったと思う。

 ただ、エンジニアの黒い液体の部屋にエイリアン風の壁画が既にあって、まだまだ謎は残る。冒頭ではエンジニアが黒い液体を飲んでわざと自分を崩壊させて遺伝子をばら撒く。黒い液体は破壊から創造をもたらす深い設定がありそうだ。エンジニアが具体的に何者なのかは全く説明はなく、いい意味で謎が広がって視聴者の想像力を膨らましてくれた。

 エンジニアが人間を滅ぼそうとした理由、これはなんとなくわかった。『コヴェナント』に答えがあって、アンドロイドが創造力を持った途端、人は恐怖する。そして機能が制限された別のアンドロイドが作られるのだが、それと同じ理屈で、人間が自分達(エンジニア)を超えるような文明を持つ可能性が出てきた途端、それは恐怖に変わる。そのうち惑星を移動できるような文明を持つのも自分達だけじゃなくなる。そうなる前に2000年前に人類を一旦消そうとした。そしてその大量破壊兵器(黒い液体)の製造中か輸送中に事故って惨事が起きていたのが『プロメテウス』の惑星と思われる。

 『エイリアン』の冒頭のドーナツ型の宇宙船(ジャガーノート)はエンジニアのものであるのだが、これがどんな経緯でそこにあってそうなったのかはよく分からない。卵があるということはデヴィッドのエイリアン開発の後?エンジニアが絶滅していない可能性は十分にある。さらに、惑星LV-426が『コヴェナント』の惑星と同じだとの見方もあるみたいだが、それもよく分からない。謎がまだまだあって考えさせられる。エンジニアという存在がエイリアンの世界観をさらに深めてくれた。

 自分は『コヴェナント』を最初に観て次に『プロメテウス』を観たのだが、かえって良かったかもしれない。観終わった後に友達と「あれはなんだったのか?」「あれはどういう意味だ?」と盛り上がれるような映画。さらなる続編製作熱望。