dw821memories’s blog

映画の感想などを書いていく予定です

【映画感想】2022

 全然知らない映画だったけどレンタルビデオ屋で目に留まって借りてきた。借りた理由はたった一つ、今年が2022年だから!

 大津波が2022年にタイを呑み込む2009年製作のタイ映画。津波シーンの水の表現、車が濁流に流されたり、高速道路が破壊されたり、瓦礫の山の風景など、特撮CGは思いのほか迫力があった。映像全体の色が意図的にグレーになっていて暗い感じがある。僕はアクション系はどちらかと言うとカラッと明るい色調の方が好きだな。

 主人公達の研究所の外にエイリアンやプレデターの人形があって、ここだけ少しユーモアがあったのだが、ストーリー全体は自然破壊など真面目なテーマが軸。この映画の中での津波の設定は人間が環境破壊をした結果(天罰)となっていて、悪役が津波で死んで善人は助かるという分かりやすいもの。タイ首相はイイ人。子供達を助ける為なら自ら津波に突っ込む。子供達を助けたあと津波に流されて死んだと思いきや巨大如来像が浮き上がってきて、その手に乗っかって助かってる。首相救助のシーンが少し長く感じた。長いと例えば救助が失敗して別の展開があるのではと感じてしまう。

 この映画の最大のポイントは2009年に製作されている事だと思う。津波と言えば2011年の東日本大地震を思わない訳がないし、冒頭で鳥インフルエンザで2000万人死んだ設定も興味深い。地震の緊急事態宣言発令による経済打撃の懸念など、まさに最近の出来事と重なる。この映画の中では首相が経済に打撃が出る事を承知しながら緊急宣言を発令することを正義として描かれている。映画の中では正義として描けるが、実際にはどうか、似たような出来事が本当に起きた今だからこそ捉え方が違ってくる。

 僕が思うに最近、なりふり構わず安全側に対策を振っているような気がしてならない。例えば津波や気象の規模データが出ているにも関わらず、いくら安全優先とはいえ、大袈裟な情報を出せばいいものではないと思う。結果、行事が中止に追い込まれたり、経済に悪影響が出たり、下手をすると大衆はそういった情報をそのうち信用しなくなるだろう。コロナ禍もしかり。本質的なデータに則って対策をすべきだ。安全側に振って少しでも被害が出れば辻褄を合わせる事が出来るかもしれないが、それは後付けの理論で正しい情報による判断とは言えない。

 ラストシーンの瓦礫の前で首相の何の捻りもないストレートなスピーチ、今の時代だからこそ心に響いて考えさせられる!エンドロールの歌も凄くいい曲だ!