dw821memories’s blog

映画の感想などを書いていく予定です

【映画感想】プライベート・ライアン

 僕は『バトルフィールド』シリーズが好きで今もよくプレイしている。この映画の色んな場面がゲームのシーンを思い起こさせた。冒頭、オマハビーチの突入シーンもどこか見覚えのあるマップロケーションで、遮蔽物が全くない砂浜を米兵は真正面から突っ走り、高台の塹壕という強ポジから機関銃で連キルされまくる光景は酷すぎる。例えゲームの中でも真っ正面からの突っ込みは無謀である。それが実際の戦争で起きるなら、それはもはや地獄と同じである。砲撃でグチャグチャの死体になったり、ヘルメットが銃弾を防いでくれて「運のいい奴だ」と言われた次の瞬間ヘッドショット、さっきまで隣りで話していた兵士が次の瞬間顔がない、塹壕の建物に手榴弾火炎放射器の猛攻撃でそこから出てきた兵士は近接キルなど、この世の地獄がリアルに描かれていた。

 途中の村で高台からスナイパーが狙っていてこちらもスナイパーで狙う。スコープでスナイパーを見つけて撃とうした瞬間、向こうが少し速くて自分がヘッドショットされる、これもfpsではよくある事。ラストの橋での戦闘で戦車に靴下式粘着爆弾を引っ付けようとした瞬間に突如爆発でビックリする。スロー再生で確認すると兵士がリアルに顔や手足がバラバラになっている。ドイツ戦車の操縦席の蓋を開けて銃乱射、手榴弾ぶっ込みで倒した次の瞬間、20ミリ機関砲乱射でこっちも全滅、兵士の頭とかもどこかに飛んでいく。味方高台強ポジスナイパーも戦車の砲撃で一撃死、60ミリ砲撃弾のグレポン攻撃、メイン武器弾切れで速攻でリーサルに切り替え接近バトルもゲームでよく見かける光景である。

 しかしこれは全て現実に起きた事で命がいくつあっても足りない戦闘、ゲームならすぐに再出撃だが現実はたったの「ライフ1」、一回死んだらゲームオーバー、たまったもんじゃない。銃撃でちゃんと死体がグチャグチャになったりする描写がリアリティがあって迫力があり、戦争の悲惨さを忠実に伝えてくれる。『バトルフィールド』も敵を倒した時はもっとリアルな死に方にするともっと面白くなるだろう。

 中隊長(トムハンクス)がトップの命令で行方不明の兵士ライアンを本土に帰還させる為に分隊を組んで探しに出かける。この映画で一番印象に残った台詞は中隊長の「1人の仲間の死は他の何十倍の命を助けたはず」というフレーズ。自分に都合よく納得した気になっているのは多分本人が一番よく分かっている。途中でライアン救出任務とは関係ないレーダー基地の機関銃兵を攻撃する判断でも仲間を一人失い、最後の戦闘では見つけたライアンとすぐに帰還せずに一緒に戦った末に分隊は全滅状態。気弱な通訳兵が一度は逃した敵捕虜を2度目は中隊長の仇打ちで射殺。敵にしても戦争が続いている状況下の中では軍隊に所属している限り戦うしかない。戦争という状況下においてはあらゆる私情が無駄だったり無意味だったり、さらには結局敵味方の犠牲者の数は変わらない事がよくわかる。中隊長はそれを何とか正当化しようともがく気持ちが手の震えになって表れていたのだろう。

 ライアンを見つけ出すまでがやや間伸びしていて、その後意外にあっさり出会う。偽ライアンのシーンだけ少し笑える。2時間50分も少し長く感じた。救出任務が淡々としていて退屈だが、実際の戦場もそうらしい。実際、戦闘状態というのは殆ど起きず(起きた時は最期の時の可能性もあり)、軍所属期間中は見張り点検、準備作業がずっと続いて退屈で堪らなかったと何処かで読んだ。戦闘が起きていない時は暇でたまらない、これは事実かもしれない。