dw821memories’s blog

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【映画感想】ゴッドファーザー PARTⅢ

 初老のマイケルは家族の為に今更いい人間になろうとし、妹のコニーは逆に頼れるマフィアの幹部になっていたり、前作からかなり時が流れて人物像も変わっている。この変化は現実の出来事も投影されていると感じた。マイケルには恐らくコッポラ監督自身も反映されていて、富や名誉よりも家族を思う人間になっている。一方、コニーは前作までは脇役で弱くて頼りない普通の女性だったのが、今作では重要な役柄で貫禄のある強い女性にガラっと変わっていた。コニーを演じるタリアシャイアは『ロッキー』シリーズのエイドリアンを思い出させない訳がない。『ゴッドファーザーpartⅡ』の後にロッキーのエイドリアンを演じ切った彼女の印象は明らかに今作にも影響を与えたと思う。弱い女性から強い女性の変化、何よりロッキーの大成功による知名度上昇は計り知れない。エイドリアンのイメージが今作のコニーの変化にも関係していると思った。

 ビンセントとメアリーの恋愛はいとこ同士で、それ自体に少し難があるのではと少し感じたが、今作ではその部分はあまり問題になってなくて、メアリーを想う父のマイケルはただマフィアのビンセントと関わる事で危険になるのを心配している。いとこ同士の恋愛自体には殆ど問題なし。これもコッポラ監督の事情と少し関係があったらしく、音声解説によると曾祖母がいとこ同士で結婚したらしい。国や時代により解釈は違ってくるだろう。メアリー役もコッポラ監督の実の娘ソフィアが演じた為、公開当時凄まじい批判を浴びたらしい。ウィノナライダーが急遽降板したため、年齢が合っていたソフィアになったとの事。しっかり演じていて何より若さがあって、何も知らなければ全く違和感がない。

 最後の1時間はいつどうやってマイケルが殺されるのかという緊張感があってとても良かった。シチリアでマイケルと元妻が行動中、後ろから花束持って走ってくる自転車は『キッズリターン』みたいにライフルを隠しててブチかましてくると思ったが、違ってた。あの場面はわざとそう思わせる演出だったのだろうか?オペラと同時進行で暗殺が次々に行われ、最後にマイケルが撃たれて死んだと思ったらそうじゃないのが最高に面白くて衝撃的。その後シーンの台詞が全くなくてエンディングに一直線。今まで長い台詞回しや複雑な展開で進んでいた物語が一気にストンと終わる感じが最高。あの場面ではまだ死んでないけど、マイケルの気持ちはもうその時死んでしまった、それがうまく表現されていた。

 音声解析によるとパート4の計画もあっらしい。パート2のように過去編と現在編のような構成で、第二次世界大戦前のドンコルレオーネの繁栄と現在のビンセントの没落を対比して描く内容だったとのこと。原作者のマリオプーゾが亡くなったため計画は実現しなかったらしい。観てみたかった。