dw821memories’s blog

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【映画感想】万引き家族

 万引き家族を観た。いろんな賞を取っているらしく内容も気になっていた。

 観た感想は、結局のところ、例え生活の為であっても盗みは良いはずもなく、そこに本当の家族愛もなく、特に父親に同情は出来なかった。いろんな事情のある人間が家族として生活していて根底には優しさがあっても、万引きをしていたら意味がない。例えそれが家族のためであっても同情もできないし、もちろん正当化されるものじゃない。僕はそう思った。

 世の中には横着な人間もいれば優しすぎる人間もいる。仮に経済的に困って盗みをしても、一番悩むのは誰か、それは優しすぎる人間なんだ。例えば、店で盗みが見つかった途端泣きながら通報しないでくれと犯人にお願いされて一番困るのは優しすぎる店員なんだよ。まだ本作の駄菓子屋のおじさんのように自分で店を営んでいればあのような対応は可能だろうが、雇われで通報が会社のルールならどうしようもない。優しすぎる人間にとって、もしそんな事が続けばそれだけの事でノイローゼになってしまう事もあるんだよ。不安神経症の人だっている。そんな人が車上荒らしをされれば、次は何をされるか気になり出し、普通に駐車場に停めるのも不安になる。物が盗まれるよりも、それによる精神的なダメージの方がずっと大きいんだ。僕が思うに、本作の場合、優しすぎる人間は駄菓子屋のおじさんで、父親は横着な人間である。父親は優しすぎる人間の気持ちなどはお構いなしである。困って万引きをしてその何倍も誰かを困らせている、そんな行動に同情はない。

 繊細な息子も父親に困っていて、連れてこられた妹を家に居やすいように仕事を手伝わせる(盗みを手伝わせる)ように言われてそのようにし、いざ駄菓子屋で見つかった事を父親に言うと「まだやらせるのは早い」と正反対の事を言って深く考えようとしない。

 他の選択肢もあるはずだ。万引き家族の人間は日雇いや非正規で働いている。それでも問題はない。行政の支援や情報に頼ることもできるし、少なくとも現在の日本において、選択肢はある。万引き以外の選択肢などあるに決まっているのにいちいちそれをやるのは愉快犯に近いだろうよ。そこから家族愛を感じてはならないんだ。

 物語の終盤、板挟み状態で自責の念にとらわれた息子はわざと捕まる。一家崩壊。足るを知る、これが大切だと考えさせてくれる作品であった。