dw821memories’s blog

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【映画感想】ダ・ヴィンチ・コード

 久しぶりにいわゆる「突っ込み所満載」の映画を観た。謎解きが大雑把でざっくりし過ぎていて、登場人物やストーリー展開が予定調和すぎる。

 女性警官ソフィーのおじいちゃんがルーヴル美術館で殺されてダイングメッセージを残しているのだが、それが異常に凝っていて死に際にやったとは到底に思えない。凝った暗号を残す知恵があるのに「PSラングドン」(主人公の名前)といちいち犯人のように書いてある。普通もっと分かりやすく「解読ラングドン」とかにするべきだろう。

 それを見た警官ファーシュはラングドンを犯人と決めつけて徹底的に追いかける。後にファーシュの元に嘘の情報があった為と分かるのだが、この逃走劇とおじいちゃんの残した暗号を解いていく展開がいまいち噛み合ってなくて、逃げているのか暗号を解いているのか濡れ衣を晴らそうとしているのか、そしてそれが何の為にやっているのか分からなくなる。

 警官があまりにも簡単に2人を取り逃すシーンが多々あり、特に車の後ろやトランクに隠れて簡単に逃げる場面は明らかに怪しいのに警官が調べずに「行ってよし」とあっさり通過。しかしその後の行き先はすぐに足がついて突き止められる。そういった展開がずっと続く。ざっくりした暗号はすんなり解いていく割に、すぐに逃がす警官にまたすぐに追いかけられる。

 ラングドンの知り合いの研究家リーに手に入れたキーストーンの暗号の手掛かりを聞きにいくシーンから予定調和はさらに勢いを増し、そこに真犯人が襲撃してきて取り押さえたと思いきや、その犯人と一緒にずっと逃げてる。まずは濡れ衣を晴らすべきなのに犯人が暗号や手掛かりを知っているかもとの理由からそうなる。結果的に暗号を解きながら濡れ衣も晴れていく訳だが、それはたまたま後からそうなるだけだ。

 さらに知り合いの研究家リーが実は事件の黒幕だったと分かる場面からついに訳がわからなくなってきて、暗号を何となく他人の携帯電話で調べたらニュートンの墓場と関係があって、そこに行ったら敵に捕らえられたはずのリーが何故か出てくる。もっと色々聞いたり驚くべきなのに二人は淡々としていて、それは彼が黒幕だともう視聴者には分かっているから。キーストーンの暗号をソフィーに本気で問い詰めるリーは完全に今までの彼と繋がっていない。偶々訪れた友人が実は黒幕で、いきなり悪役になってしまうのは余りにも不自然すぎる。

 キーストーンの暗号の手掛かりが極めて少ないのにも関わらずラングドンがパッと解読してしまう。キーストーンから出てきたさらなる暗号から最後の場所に辿り着いて、そこでソフィーの昔の新聞がちゃんと置いてあって出生の秘密が分かるけど、これはおじいちゃんとソフィーの関係性が分かる始まって1時間ぐらいで予想できた。さらに秘密がわかった後になぜかすぐに人が集まってきてソフィーの実のお婆ちゃんが出てくる。番人が呼んだらしく、何でソフィーがソフィーだと分かって事情を把握出来て、数分後にみんなが集合できるんだ?どこでいつまで待ってたらそれが予想できた?

 そもそも、キリストの末裔の存在が重大な秘密である事にいまいちピンと来なくて、欧米の文化に馴染みがないのもあるだろう。そして最大のツッコミ所は『ダ・ヴィンチ・コード』というタイトルにある。もっとレオナルド・ダ・ヴィンチのなんらかの真相やメッセージが描かれていると思ったが全然そうじゃなくて、少し関係してるのは「最後の晩餐」のキリストとマグダラの絵が引っ付く所だけだから。しかもそれは研究家リーの想像の話だから。レオナルドと関係してるのは本当にそこだけだから。映画ポスターのモナリザの微笑みに何を仕組んだとか、全く触れてないから。ダ・ヴィンチ・コードじゃなくておじいちゃんのコードだから絶対。暗号マニアのおじいちゃんとキリストの話は色々出てくるけど、レオナルド自身は本当に全く関係してないから。タイトルのセンスと予告編が凄すぎる映画だと思った。