dw821memories’s blog

映画の感想などを書いていく予定です

【映画感想】ウクライナ・クライシス

 レンタルビデオ屋のウクライナクライシスは毎回貸出中になっていた。今年ロシアによるウクライナ侵攻が始まってからそこに興味を持ったことは誰でも同じだろう。この前行ったら置いてあったので、自分も借りてみることにした。

 

 まず率直に映画として感じた事を書きたい。物語は2014年のウクライナ紛争を題材に2019年にウクライナが映画化したものだ。最初の方でロシア人の親子が出てきて、その息子が親父を馬鹿にしていきなり殴られる場面はちょっと面白い。しかしその息子が高い賃金を理由に軍隊に入る場面や、ウクライナ側も初めて武器を扱うような義勇兵が集まるなど、紛争がなければただの一般人であることが描写されていた。物語の中で「いつかプーチンウクライナに軍隊を大量に送って戦争を終わらせてくれる」という台詞や、プーチン大統領と親ロシア派地域のリーダーの写真を掲げて「どっちにするか決めろ」など、今、本当にロシアがウクライナに大規模な侵攻をしていることの後から観ると、あまりのリアリティに重みを感じずにはいられない。ウクライナ制作の映画だが、戦場で大怪我を負うと自分だけヘリで逃げて仲間を見捨てるウクライナ兵や、一般のロシア人は普通の人で負傷したウクライナ兵を匿ってしまったりと、内容は中立的に描かれていた。中盤、二人のウクライナ兵が負傷し、ロシア人の家で隠れる辺りから、物語は人物にスポットを当てて進んでいく。ウクライナ紛争の大局的な説明や見解はあまりなく、登場人物のストーリーで最後まで進んでいく。アメリカの戦争映画ばかり観ていたせいか、戦闘シーンはやや迫力に欠けたが、ある意味、これぐらいが本当なのかもしれない。

 

 冒頭、この出来事を戦争と認めるものは少なかったとあり、映画最後にはロシアとの戦争は今も続いている、とテロップが出てくる。2014年のウクライナ紛争、そしてこの映画が制作されたのは2019年、既にロシアとウクライナは局地的には戦争状態が続いていたことがわかる。そして2022年についにロシアが大規模侵攻に踏み切った、というのが大まかな解釈なのだろうか。現在の状況、それは他国からの武器供与、すなわち事実上の代理戦争や、ロシアとの経済を封鎖、それは第二次大戦前のブロック経済の様相、さらには核が使用されるのかどうかというニュースまで見かける。今の流れだと確実に第三次世界大戦に近づいていると思われる。既にこれは始まりだと述べている人もいる。戦争が長引けば長引くほどWWⅢが現実味を帯びてくる。

 

 北京オリンピック閉会式の花火でONE WORLDと打ち上げられてからわずか数日後に始まったウクライナ戦争。自分が戦争について思っている事、考えている事はまた別に書くかもしれない。